「趣味を見つけたい」と思って検索しても、なかなかピンとくるものが見つからないことはありませんか。
読書、映画、散歩、料理、ハンドメイド、スポーツ、カフェ巡り。おすすめの趣味はたくさん出てくるのに、「楽しそうだけど、自分には続かなそう」「やってみたい気もするけれど、何か違う」と感じることがあります。
自分に合う趣味を見つけるには、「何をするか」だけでなく、「なぜそれをやりたいと思えるのか」を考えることが大切です。
そこでヒントになるのが、心理学の考え方である自己決定理論です。難しく聞こえるかもしれませんが、趣味探しに置き換えると、自分が続けたくなる条件を知るための考え方として使えます。
この記事では、自己決定理論の3つの視点をもとに、自分に合う趣味の探し方を紹介します。
自己決定理論とは?趣味探しにも使える心理学の考え方
自己決定理論とは、人が自分から行動したくなる理由や、やる気が続きやすくなる条件を考える心理学の理論です。
人は「やらされている」と感じることには、なかなか前向きになれません。たとえば、誰かにすすめられたから始めたことや、周りに良く見られたいから選んだことは、最初は頑張れても途中で疲れてしまうことがあります。
反対に、「自分で選んでいる」「少しできたと感じる」「心地よいつながりがある」と感じられるものは、自然と続けやすくなります。
これは趣味探しにも当てはまります。
趣味は、本来「やるべきこと」ではありません。
自分の毎日を少し楽しくしたり、心を休ませたり、自分らしさを思い出したりするためのものです。
大切なのは、自分の心が自然に動く条件を知ることです。
自己決定理論の視点を使うと、「自分に合う趣味とは何か」を少し見つけやすくなります。
自分に合う趣味を見つける3つの視点
自己決定理論では、人のやる気に関わる大切な要素として、主に自律性・有能感・関係性の3つが挙げられます。
この3つは、趣味探しにもそのまま応用できます。
1. 自律性 自分で選んでいる感覚があるか
自律性とは、「自分で選んでいる」と感じられることです。
趣味を探すとき、つい「人気があるから」「友人にすすめられたから」「SNSでよく見るから」という理由で選んでしまうことがあります。もちろん、それがきっかけになるのは悪いことではありません。
ただ、自分の気持ちが置いていかれたままだと、続けるうちに苦しくなることがあります。
たとえば、周りがヨガをしているから自分も始めてみたけれど、本当は家で静かに本を読む方が落ち着く。料理を趣味にしたいと思ったけれど、実は作るよりも、食べ歩きやカフェで過ごす方が好き。こうしたことは珍しくありません。
自分に合う趣味を見つけるには、「人にどう見えるか」よりも、「自分が選びたいと思えるか」を大切にしてみましょう。
「少し気になる」
「自分のペースでできそう」
「誰に言わなくても、やってみたい」
そんな感覚があるものは、自律性がある趣味の候補です。
2. 有能感 少しできたと感じられるか
有能感とは、「できた」「少し上達した」と感じられることです。
趣味が続かない原因のひとつに、最初から難しすぎる形で始めてしまうことがあります。
たとえば、読書を趣味にしたいと思って分厚い本を買ったけれど、数ページで止まってしまう。運動を始めたいと思っていきなり本格的なトレーニングを始めたけれど、疲れて続かない。そうなると、「やっぱり自分には向いていない」と感じてしまいやすくなります。
でも、趣味は最初から上手にできなくても大丈夫です。
・本を買って1ページ読めた
・5分散歩できた
・1行ノートを書けた
・机の上だけ片付けができた
それくらい小さな「できた」で十分です。
小さな達成感があると、「またやってみようかな」という気持ちにつながります。自分に合う趣味を探すときは、最初から大きく始めるのではなく、少しできたと感じられる形に小さくしてみることが大切です。
3. 関係性 心地よいつながりを感じられるか
関係性とは、人や場所、作品、世界観とのつながりを感じられることです。
趣味というと、人と一緒に楽しむものを思い浮かべる人もいるかもしれません。もちろん、友人と楽しむ趣味や、コミュニティに参加する趣味は、続ける支えになることがあります。
けれど、関係性は人との交流だけではありません。
・好きな本の世界に触れる
・自然の中を歩いて季節を感じる
・お気に入りのカフェで落ち着く
・推しや作品の世界観に元気をもらう
こうしたつながりも、趣味を心地よくしてくれる大切な要素です。
ひとりで楽しむ趣味でも、「自分はこれが好き」「この時間があると安心する」と感じられるなら、それは立派な関係性になります。
孤独感をやわらげたい人は、人とゆるくつながれる趣味が向いていることもあります。一方で、人付き合いに疲れやすい人は、作品や自然、自分自身とつながる趣味の方が合う場合もあります。
大切なのは、自分にとって心地よい距離感を選ぶことです。
自己決定理論を使った趣味の見つけ方
ここからは、自己決定理論の3つの視点を使って、自分に合う趣味を見つける方法を紹介します。
ステップ1 「人に言えるか」ではなく「自分で選びたいか」で考える
まずは、見栄えのよさや人に説明しやすいかどうかを一度横に置いてみましょう。
「趣味は何ですか?」と聞かれたときに答えやすいものを探そうとすると、どうしても立派に見える趣味や、わかりやすい趣味を選びたくなります。
でも、自分に合う趣味は、人に話しやすいものとは限りません。人に話すほどではないと思うことでも、自分の気持ちが少し動くなら、趣味の芽になる可能性があります。
まずは、「やってみてもいいかも」と思えるものをいくつか書き出してみましょう。誰かに評価されるかどうかは、考えなくて大丈夫です。
ステップ2 5分でできる形に小さくする
候補が出たら、いきなり本格的に始めないことが大切です。
読書を始めたいなら、1冊読み切ることを目標にするのではなく、まずは1ページだけ読む。散歩を始めたいなら、30分歩くのではなく、家の周りを5分だけ歩く。料理を楽しみたいなら、何品も作るのではなく、一品だけ作ってみる。
このように小さくすると、始める負担が減ります。
そして「できた」という感覚が残りやすくなります。
趣味探しでは、最初のハードルを下げることがとても大切です。小さく始めることで、有能感が育ち、「またやってみよう」という気持ちにつながります。
最初は小さな一歩でも、継続することで知識や技術を体得できます。人より詳しい、できるようになると立派な趣味と言えるでしょう。
ステップ3 少し楽しかった瞬間をメモする
実際に試した後は、「○○をしてどの瞬間がよかったか」をメモしてみましょう。
・楽しかった、落ち着いた
・少し気分が変わった
・思ったより面倒ではなかった
・またやってみたい
このくらいの短い言葉で十分です。
反対に、合わなかった場合もメモしておくと役立ちます。準備が面倒だった、人と関わるのが疲れた、時間が長すぎた、お金がかかりすぎた。「やりたくない」という気づきも、自分に合う趣味を見つけるヒントになります。
趣味探しは、正解を一度で当てるものではありません。
自分の反応を少しずつ集めることで、「自分は静かな時間が好きなんだ」「短時間でできるものが合うんだ」「外に出ると気分が変わりやすいんだ」といった傾向が見えてきます。
ステップ4 必要なら、ゆるいつながりを足してみる
ひとりでは続きにくいと感じる場合は、ゆるいつながりを足してみるのもひとつの方法です。
・体験教室に一度だけ参加してみる
・読書ならレビューを読む
・散歩なら季節の写真を残す
・成果をSNSで記録してみる
人と深く関わらなくても、少しつながりを感じられるだけで、趣味が続きやすくなることがあります。
ただし、人と比べて苦しくなるなら、無理に交流する必要はありません。
大切なのは、自分にとって心地よい距離感です。
趣味は、人とつながるために使ってもいいし、自分に戻るために使ってもいいものです。
具体例 3つの視点で趣味を選ぶとどう変わる?
自己決定理論の3つの視点を使うと、身近な趣味も自分に合う形に変えやすくなります。
たとえば読書なら、話題の本や難しい本を選ばなくても大丈夫です。自律性を大切にするなら、自分が少し気になる本を選ぶこと。有能感を大切にするなら、1日1ページだけ読むこと。関係性を大切にするなら、心に残った一文をメモしたり、誰かの感想を読んだりすることができます。
散歩の場合も同じです。自律性を大切にするなら、行きたい道や歩く時間帯を自分で決める。有能感を大切にするなら、5分歩けたら十分と考える。関係性を大切にするなら、季節の花や空、街の変化に目を向けてみる。
ジャーナリングなら、書く内容を自由に決めることで自律性が生まれます。1行だけでも書けたら有能感につながります。そして、自分の気持ちに気づくことで、自分自身との関係性を取り戻す時間にもなります。
このように、自律性・有能感・関係性の3つを意識すると、同じ趣味でも「自分に合う形」に調整しやすくなります。
まとめ 自分に合う趣味は、心が自然に動く条件から見つかる

趣味探しで大切なのは、人気の趣味を選ぶことではありません。
自分の心が自然に動く条件を知ることです。
そして、試した後に自分の心がどう動いたかを見てみましょう。その反応が、自分に合う趣味を見つけるヒントになります。
趣味は、無理に探し当てるものではありません。
自分の心が少し動く瞬間から、ゆっくり育っていくものです。


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